死んだ亀

デッドタートル

八丈島:島の夜ほど怖いものはなし

この夜は宿の近くで、歩ける範囲で飲み歩こうとしていた。

最初に向かったのは居酒屋「大吉丸」。宿から店まではものの5分ほどだ。

しかし住宅街でもあるからか殆ど街灯がなく、えも言われぬ夜の怖さを感じる。

怖さは増す一方で、いつまで経っても目的地に着くことが出来ないような気がした。

少しでも足を止めようものならきっと目には見えない何かに飲みこまれてしまう。

夜がこんなに怖く感じたのは初めてだ。なぜだろう、島特有の空気感のせいだろうか。

きっと閉鎖的空間だからだ。精神的に参ってしまう怖さである。

遠くに目的地の店の看板が見えた時は泣きそうなくらいに安堵したのを覚えている。

 

事前に食べログで調べていたイメージよりもポップなフォントで書いてある「大吉丸」。

さっきまで地獄の肝試しツアーをしていたので、ハイテンションな方がありがたかった。

ドライブマップか何かで見かけ、コスパがよさそうなのと食べログの評価もいい具合なのでこの店にした。

どうやら移転したらしく、新しく建てたほったて小屋のような店構え。

食べログやドライブマップで見ていたイメージは移転前のようだ。

高校生の時よく行っていた安い焼肉食べ放題の店を彷彿とさせる。

地元の人でにぎわっているようだった。店内は広く、奥の方のテーブルに案内される。

「やはり島寿司でしょ」と、注文。

 

これが格別に美味い。

美味すぎて、あとは何を食べたかすっかり忘れてしまった。

地元の人に混ざり、野球中継を見ながらのんびりと飲んだ。

お値段もこのボリュームで1300円と、やはりコスパGOOD

 

八丈島ではどこに行っても明日葉の料理やカクテル等をレコメンドされるが、結局あまりトライせずに終わった。

なんだか桑の葉みたいで、小学生の理科の授業で飼っていた蚕を思い出すからだ。