死んだ亀

デッドタートル

八丈島:運動会行きたい症候群

 思いがけずほっこりアクティビティに触れた私達、八丈島には毎年運動会シーズンにくることを誓い、ホテルへ向かう。

一日目の宿はリードパークリゾート八丈島

作りは古めだが広くてきれいなホテル。よくある田舎のリゾートホテルという感じだ。

夜ご飯までには時間があったので昼寝をすることに。

私達の旅には、結構昼寝タイムが登場する。まんきんの夜を過ごす為に、夕方頃昼寝をするのだ。

 

よるご飯はホテルでご飯。島寿司や、明日葉料理、くさや等を食べた。

人生初のくさやはまずかった。

ここでしれっと島寿司童貞を捨てる。

醤油漬けしたネタ(白身魚が多かった気がする)とやや甘いシャリが何とも言えずうまい。

これはいかにも「島に来たら食べたくなる寿司」だ。

伊豆諸島では暖かい気候でも寿司を食べられるよう、独自の寿司文化が発達してきたらしい。

古い島文化の味がする。きっと東京に帰ったら忘れてしまう味、それがまたよかった。

 

実は運動会を見に行ったあともう1校運動会はしごをしていた私達。

1校目より大きめの小学校、のぼりや看板にも気合いが入っているようだった。

最後のリレーを見ることができた。

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家族で一丸となって運動会に臨んでいたあの頃。

汗とグラウンドの砂と日差しと運動会のシーズンだけ特別に許されていたポカリスウェット、全部混ざった青春の味を今でも思い出せるだろうか。

またしても初夏のノスタルジーに魂を売ってしまった私達は、少し涙ぐみながら運動会を眺めていた。

 

そんなこんなで運動会熱に火がついてしまったので、明日も運動会を見に行こうということになった。

島には3校の小学校があり、そのうちの1校は雨天延期で明日にやることになっていたのだった。

もはや運これは運命の巡り合わせだ。

明日の運動会に向けて今夜はゆっくり休もうという流れなのであった。

 

ホテルの温泉に入り、部屋でしこたまビールを飲んだ後に眠りにつく。

朝目が覚めたら朝風呂に入り、朝ご飯を食べ、朝イチで運動会に行くつもりだった。

普段は寝起きが悪い私も、旅行ではわりかし寝起きがいい。

気持ちのいい目覚めと共に予定通り朝風呂へ向かう。風呂は貸し切り状態で、露天風呂に入る。

曇天と小雨が少し気になったが、運動会当日の朝ならではの小さな高揚を感じていた。

大人になってしまったけど、運動会にこれほどワクワクできる日が来るなんて。

 

「ピンポンパンポーン♪本日、予定されておりました、○○小学校運動会は、雨天により延期となりました。」

 

 

なんということだ。落胆した。大人なので、静かに落胆した。

同じく露天風呂に入っているであろう相方も、柵の向こうで落胆していたに違いない。

当事者の小学生たちは声を上げて落胆しているだろう。

よくよく考えれば、昨日の方が午前中悪天候であったのに、運動会を決行した2校の覚悟はすごい。

 

私の胸の中には、既に「オワリハジマリ」が流れていた。

 

 

 

八丈島:運動会

顎関節症の痛みはいよいよピークに達したらしい。さすがに心配になってきた。

例のボタニカルランチをし始めるも、全く食欲の湧かない相方。

しかも飯がマズイ。こりゃヒドイ。ほぼ全品うんこの味がした。

メインの雑炊も、うんこ粥。頑張って食べる相方を見ると胸が痛い。

体にいいものは不味くてもいいというオーガニック風をびゅんびゅんに受け、少し涙が出た。

アンチ・ボタニカル&オーガニック精神が更に成長したのだった。

顎を見てもらうために祝日に空いてる病院がないか探してみるも、あるわけがない。

取り敢えずロキソニンと湿布を買いに薬局へ行く。

顎に湿布を貼り悲しそうな顔をする相方。お願いだから早くロキソニンよ効いておくれ。

こんな状況下、何をしたらいいのだろう。

そういえばどこかで「島の行事」というほっこり系の掲示板を見かけた時

この週末は島中の小学校が運動会をやるようだった。

最寄りの小学校で運動会が催されているようだったので、立ち寄ってみることに。

午前中の悪天候でダートやや重であったが、元気に駆けずり回る子供たち。

低学年男女混合リレーのようだった。男子よりも女子が速い。

思わず熱くなってしまう。

大玉ころがしが始まる。全校生徒数が少ないので、全学年混合での対決だ。

赤と白の2チームに分かれて行う。

二人ずつの列を作り、順番に転がしていく。最後は列の後ろまで転がしていき、

アンカーの強めの男子2人組がチームの頭上に玉を上げる。

そのまま玉を列の先頭まで渡していく。これのくりかえし。

アンカーの男子の安定感といったらない。

優位は赤だ。

赤のアンカーの方がどっしりしているので玉を持ち上げるところで大きく差がついているようだ。

しかし、赤チーム審判の女教師(チームに1人審判がついている)がとても厳しい。

ラインから出る等、少しでもルール違反をしたら「ピピー!」と笛を吹きやり直しをさせる。

ピピー!が連続する赤、その間に追い上げる白!

息をのむ私達。

そしてついに白が赤を抜いた。

そのまま逃げ切り、白が勝利。

すげーー!!と心から感動してしまった。

ふと隣を見ると相方はとても優しい顔をしながら涙ぐんでいた。

いや、おっさん誰やねん。

 

最後に六年生によるダンス。

オタ芸あり、ポップなダンスあり、出来はいまいち。これもこれとてほっこり系だ。

何曲か踊り、最後の曲。「もうすぐ今日がおわる~やり残したことはないかい♪」

かりゆし58の「オワリハジマリ」という曲らしい。

夕刻にぴったりのこの曲。私たちの旅にもぴったりだ。

「一生忘れないような出来事に出会えたかい

 かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい」

東京でも毎日そうやって思いながら生きていけたら素敵だな。

 

なんと顎の痛みは消えていた。

ロキソニンの半分は小学生のパッションでできているらしい。

 

 

八丈島:ふろ通い初老ジジイ

到着できてしまったので、旅を再開するしかなかった。

とりあえずレンタカー屋に連絡し迎えに来てもらう。

旅先のレンタカー屋にありがちなボロいマイクロバスがすぐにやってきた。

空港のすぐ隣あるそのレンタカー屋は、仮設住宅のような佇まいで不安になるほどだ。

しかも本当に一日3千円だった。予約時は絶対騙されてるよなぁと思ってたので驚きだ。

佐渡のレンタカーよりは幾分かマシな軽自動車。

あの雑な貸し出し方も実に良い。旅ならではだ。

 

10時ごろ、昼ご飯にはまだ早い。

ほぼやることがないであろう八丈島、さてどうしよう。

いつだって無計画★トラベラーズの私達は、いつもレンタカー屋でもらうマップを頼りに旅を始める。

取り急ぎ寿司屋情報を集める。島なので魚が不味いわけがない。

島寿司は八丈島の郷土料理らしい。しまずし?普通のすしと何が違うんだ?

とにかく寿司屋というと島寿司ばかりなので、島寿司を食べに行こう。

片っ端から電話をかけるも、定休日だったり、本日ランチは貸切です、だったり…。

数件しかない寿司屋全滅。これはフライトに引き続き前途多難だ。

 

一旦店選びをやめて、「裏見ヶ滝温泉」へ立ち寄る。

マップ上でも目立つのは温泉だ。八丈島には温泉がたくさんある。

私達は基本的に趣味も好きなものも被らないのだが、唯一共有できる喜びといえばすしとふろと日光(サンシャインの方)だ。

休みの日は大体ふろにはいりにいくか寿司を食べているか日光浴をしている。

つまりすしとふろが豊かな八丈島は本当に最高の島ということである。

そんなことを噛みしめていると、まさかの晴天チャンスが到来した。

日がさしてきたのだ!おお、神よ!やはり私には晴天の神がついている。

「○○温泉」は水着着用で混浴できる露天風呂だ。なんと無料。

ちょっと色っぽいわね・・と胸をドキドキさせながら向かう。

男女一緒の更衣室で水着に着替え、ふろへログイン。

丁度いい温度、晴れてきたので熱いくらいだ。

景色は良好。目の前にはジャングルが広がり、自然の恵みを感じる。

先客が一人いた。初老の男性だ。色気ゼロである。

しかも話しかけてきた。

「そこの岩に足をかけて寝そべるように入るときもちいいですよ」

足が冷えるじゃないの。わてくしは末端が冷え性気味ですのに。と思いつつトライすると、確かに気持ちいい。

これは非常に悔しい話だが、未だに外の風呂に行くとこの入り方をしてしまったりする。

そこから初老男性のマシンガントークが始まる。

どうやら八丈出身で、東京に働きに出たがご両親の介護で戻ってきたらしい。

八丈出身の人はやっぱり八丈がいいな~と島へ戻ってくる人が多いとのこと。

(島に人の気配は全然感じないのだが、本当なのだろうか)

東京では世田谷に住んでおり、若いころはジム通いなんかが好きだった等

ひとしきりしゃべった後なぜか私たちのスマホで私達の記念写真を撮って帰って行った。

ほぼ逆光で表情は見えないが、ひどくしょっぱい顔をしていたに違いない。

早速変な奴に出会ってしまった。しかし、恨みがたき温泉である。

 

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八丈島:顎関節症患者とともに

なぜ八丈島に行こうと思ったのか、理由は覚えていないが気がつけば決まっていたような気がする。

正直、島と言えば南の島でしょ、沖縄でしょというくらい視野の狭かった私に、日本海の島・佐渡はいい意味でショックであった。

昔から気に入ったらそればばかり愛でてしまうメンヘラ気質の私は、大学一年で沖縄に魅了されて以来、毎年行くほどに沖縄好きだ。

他の場所に行きたいと感じたことはあまりなかった。適度に国内旅行はするが、沖縄第一優先。新しい景色を探すより、心にある情景をいつまでも追い求めてしまう女々しい性格なのだ。

昔よく聞いていた曲を聴きながらいつまでも酒を飲める質である。

新しい場所は怖い。そんな私が佐渡島八丈島、などと得体の知れない島に連続していくなんておかしな話なはずだった。

でっかい漬け物石のような安定感を持つ相方のおかげなのか、私自身が大人になったいうことなのか。

 

八丈島へ行くにはフェリーか飛行機がある。フェリーは夜行便でつらいので、飛行機を選択。羽田空港より約50分ほどで着くらしい。

私達の旅は飛行機を取った段階で一旦テンションが落ち着く。佐渡フィーバーのまま勢いで八丈行きのフライトを予約後、すぐ忘れる。

途中で急に思い出したように破格のレンタカーを予約。(一日3000円)

八丈島はどうせ何もないので旅の行程を練る必要もない。

 

11月の三連休初日、出発の朝は早かった。前日に詰め込んだ最低限の荷物を持ち、羽田へ向かう。

浜松町までのタクシーの中、「八丈行き、条件付きのフライトとかゆうとる」と相方。

どうやら八丈は天気が荒れやすく、着陸できない場合はそのまま羽田へリターンするという条件付きのフライトがあるらしい。

正直、そんなこと言われてもなんだかんだ行ける気がしていたし、最悪行けなくてもやむなしだなぁくらいの執着心のなさだった。

相方は、どうせあっち行っても天気悪いなら、東京は天気がいいらしいのでリターンする気満々だった。帰って大井競馬場行こう等と言う。

実は2日前くらいからあごが痛いとほざいていた。

父親はなんでも大袈裟に表現する性質の人だったので、(実際の痛みの100倍くらいの表現をしたりする)世の中の男の人はみんな大袈裟なんだと思い込んでいた私は、「へえ」と無視し続けていた。

飛行機ではずっと寝ていたので着陸のタイミングで起きたのだが、実は3、4回着陸チャレンジした結果だったらしい。

なんとか八丈島についた。

だが相方は気圧のせいか顎の痛みが強まっているようだった。

流石に少し心配になってきた。

八丈は依然悪天候

この旅、不安だ。

 

 

 

東京:3月14日

時系列がぐちゃぐちゃであるにも程があるが、今日は3月14日なのでブログ投稿せざるを得ない。昨日は熱を出していて大分体調よくなったものの、会社をほぼズル休みしている。理由は2つあるが、1つはあまりにもいい天気すぎるからだ。4月になればどうせ嵐のような日も増えるだろう。毎年、3月下旬頃が一番過ごしやすい気候だったりする。今年の春は早いもんで、3月も頭くらいから暖かい日が多い。例年より桜の開花も幾分か早いようで、来週末はもう花見シーズン幕開けだろう。実を言うと桜は開花寸前が一番好きだ。開こうとしている桜の芽のエネルギーはものすごくて、毎年これのおかげで元気になる。春は元気になれる。(夏はもっと元気)

 

今日みたいな日は、少し罪悪感はあるもののほぼオフィシャルに二度寝が許されている訳である。12時過ぎまで二度寝して起きたときは、寝すぎて体がだるいのか、病み上がりで体がだるいのかわからないくらいだった。割と陽当たりのいい部屋なので、きっと昼頃には太陽が射し込むことを予想して二度寝前にカーテンを全開にしていたのは大正解だった。軽く部屋の掃除をして、どこかへ出かけよう。私は大のピクニック狂なのでデカ公園チルをすること以外に選択肢はないのだが、さてどこのデカ公園に行こう。東京には沢山の公園がある。私が好きなのはベタだが代々木公園だ。いろんな年齢層の人が沢山集まっていて、パワフルだから。一人で行っても寂しくならないし、大勢で行けば勿論楽しい。公園以外に目的地として思いつくのは鎌倉だった。鎌倉の海が見たい。鎌倉駅から結構な距離を歩くと由比ケ浜に行ける。あの結構な距離を歩く時間が好きだ。海は汚いが、鎌倉マジックでなんとなくいい海に見えたりする。あと私はドラマ「最後から2番目の恋」が大好きで、そういえばそのドラマのおかげでこんなに鎌倉が好きなのかもしれない。

 

しかし二度寝しすぎてもう2時半。他に済ませたい用事もあるし、妥協して一番近所の新宿御苑に来た。平日というのに結構な人だ。入場料200円を払い中へ入ると、いろんな人がピクニックをしている。圧倒的に多いのはママ会集団。そしてカップル、上裸の外人、暇を持て余している大学生、平日休みのパパがいる家族連れ等。どれもすてきだ。代々木公園なんかは場所が場所なだけに、私のようなこじらせ一人ピクニック野郎がうじゃうじゃいるもんだが、新宿御苑はそういういやらしさがない。一人でピクニックしてるのはじいさんばあさんくらいだ。さっき見たじいさんは「おいしい牛乳」を美味しそうに飲んでいて、恐らく2パック目に突入する所だった。その年でそんなにカルシウムを摂取してどうしようというのだ。

 

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ピクニックというのは、一緒にする相手を選ぶものだと思う。あまり仲良くない人間とピクニックをするだろうか?太陽を浴びてニコニコしたいからわざわざピクニックをするもんで、この幸福感は好きな人と共有したいと思うだろう。ピクニックにするということは、ある程度の仲の良さが条件なのだ。だからピクニックをしている人たちを眺めるのが好き。ハッピーだから。なんの負の感情もない空間。相方がよく言ってるのが「日光浴が一番の健康法」。太陽を浴びることでビタミンEが生成されるんだとか。

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この後はどうしようか。おでん食べてから映画でも見に行こう、夜はゆっくり帰って汁物でも作りながら相方の帰りを待つとしよう。今日という日に限って何の予定もない、ケーキを食べる予定もない、今年も最高な誕生日だ。

 

佐渡島:ノスタルジック野球部スメル

予報通り風が段々強くなってきたので、予約していたジェットフォイルちゃんをキャンセルし、一本前の大型カーフェリーに乗ることにした。

誰もが同じことを考えていたのだろう、ものすごい人だ。こんなに多くの人がこの島にいたとは考えられない。皆マラソンをしていてちらばっていたのだろうか。

席は勿論埋まっており、フリースペース的な所もほぼ埋まっている。地べたに新聞紙を敷いて座る人もいるくらいだ。ほぼスラム。

ストリートチルドレンを脇目に場所を探していたら、テレビもあり狭い部屋のようになっている謎スペースがあった。

しかも半分ほどスペースが空いている。ラッキー!安泰を手に入れた。

そこに足を踏み入れた瞬間、ハッとする。

臭い。野球部だ。

9月も半ば、しかも台風でそこそこ寒いというのにそれを思わせない夏の部室のかほり。

0.3秒ほどノスタルジックに浸ってしまったものの、やはり臭い。

しかし一歩外はスラム。

夏のノスタルジーに魂を売るしかなさそうだ。

高校の頃、席が近かった野球少年を思い出す。

日焼けた肌、白い歯、思春期ニキビで少し赤らんだ顔が何とも言えずキュートな野球少年だ。

そいつもまた、めちゃめちゃいい奴だったが、めちゃめちゃ汗臭かった。

ある日の授業中、小声で名前を呼ばれたので振り向くと、したり顔で片乳首を露出しており、思わずふきだしてしまう事件が起きた。先生には私がおこられた。

後で聞けばバツゲームだったようだが、それ以来彼とはマブダチだ。

そういえばその時代一番仲が良かった女友達はワキガだった。

ついでに、彼女の携帯のブックマークには近親相姦もののネット官能小説が入っていたことを、私は知っている。

高校卒業してからは一度も会っていない。

雑魚寝状態のそのスペース内で、なるべく匂いを嗅がないように相方のパーカーに顔を沈めながら、そんなノスタルジックに浸っていた。

パーカーから顔を上げると目の前には別のオヤジ客の足が目の前にあった。

臭かった。

 

ジェットフォイルちゃんなら1時間強でつくところ、2時間以上かけて両津港へ到着した。

ついた頃はもう夜19時頃で、直前に取ったそこそこ快適そうなビジネスホテルにチェックインしてから新潟駅周辺の飲み屋を探しに出る。

「今夜は8件行こう」などと言いながら、3件目で私は爆睡。

そのまま泥のようにホテルに戻り泥のように眠る。

なのであまり記憶にないのだが、新潟はやはり酒も食べ物も美味しかった。気がする。

 

帰りは朝一番の新幹線。

心は山居の池ほどに穏やかだった。

このままここにいたら穏やかに死んでいく気しかしない島、佐渡最高だった、

 

 

 

 

 

 

 

佐渡島:柿の焼酎はいらん

恐怖と共に迎えた佐渡島2日目の朝。9月も半ば、朝は気持ちのいい天気だったが実は台風が近づいていた。雨予報も晴れにしてしまう晴れ人間だが、流石に台風様は避けられまい。帰りのフェリーの便を少し早める設定で、まんきんの2日目を過ごす為に宿を後にする。

 

当方、ドライバーに対して一切気を使わないタイプの酒飲みである。

さどがしま=にいがた=こめがうまい=にほんしゅがうまい!

佐渡島には酒造がいくつもあった。宿根木から港へのルートも加味しつつ、「真野鶴酒造」と「北雪酒造」を目指す。

 

最初に訪れたのは真野鶴酒造。DVDを見るだけという、実にサクッとした酒造見学をさせてもらい、お土産スペースにて片っ端から試飲。

 

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酒飲みといいつつ、美味しい日本酒だと思って飲めばなんでも美味しく感じるタチだ。

味の選り好みもあまりしない方なので、まぁぜんぶ美味い。日本酒を楽しんでいる途中、しれっと「柿焼酎」を進められ、「柿はいらんねんで。。」と思いながらも試飲。

やっぱり「柿はいらんかった。。。」

 

日本酒は「熟成」やら「大吟醸」やら、付随する言葉がゴージャスになるにつれて美味しくなる。心の隅に貧乏人があるので、通常と高級の間くらいのものを購入。寿司屋でも大トロには手を出さず、中トロで我慢するくらいのかわいい貧乏心である。

あとは試飲できなかった濁り酒、酒造のおばちゃんのセールストークに負けて酒ケーキも購入。結局、旅の後に一番買ってよかったと思ったのは酒ケーキだ。酒がしみ込んでいるスポンジ?パウンド?ケーキ。お口の中でジュン、ジュワァ~と広がる、子供でも食べれるくらいの酒の風味。毎日一切れずつ食べるのがとても楽しみだった。

濁り酒もとてもうまかったなあ。酒ケーキと濁り酒の組み合わせは最高に「大人のデザート」という感じがある。旅先で酒を買って帰る、これは私たちの恒例となった。

 

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北雪酒造では変なシェフ監修の日本酒を進められたりなどした。酒造見学は休みの日であったが急きょ対応してくれた。やっぱ佐渡の人はキューバ人並に親切だ。日本酒は総じてすごい美味しかった。

 

お分かりだと思うがちょっとめんどくさくなってきたのでこの辺にしておこう。

佐渡島:狂いマラソンとインド人大家族

北部へと進むうち、最初は気にしていなかったものが気になり始めた。

 

どうやらマラソンが開催されている。

 

年齢層は高めだった。年長者のレクリエーションだろうか?中にはセーラームーンのコスプレをしながら走るジジイがいたりして、穏やかに狂っていた。なにしろ歩道もない山の一本道をランニングするもんだから危ない。そろそろ先頭だろと思うとまだ現れるし、一本道を行く私達からしたら終わらないものほど怖いものはない。窓の外には聞こえないくらいの声で「全員ぶっころす!!!」等と言いながらドライブは続いた。

 

薄々感じてはいたが、佐渡島、人が少ない。地元の人もあまり見かけないが、観光客もあまり見ない。限界集落」というやつだ。マクドも勿論ない。そんな中で狂ったマラソンランナー達は目立ったし、唯一覚えている観光客は大野亀で見かけたインド人の大家族だった。10人くらいの、サングラスがイカした親父率いるインド人大家族。

 

いい時間になってきたので、帰りは島の東側を通って宿根木へ向かい始めた。泊まる予定の小さな旅館。大きな風呂はないが、宿近くの温泉と提携しており宿泊者は入湯税のみで利用できるというものだった。夕食の前に風呂に入ってしまいたかったので、宿に到着時間を告げ、温泉へ。最遅のチェックイン時間を過ぎそうだったが、親切な宿のおじさんが温泉へ予めタオルを届けてくれるなどしてくれた。「おぎの湯」はいい湯だったのでオススメです。お湯がぬるぬるで、そら肌もぬるぬるになりますわって感じで。

 

宿は「音楽と陶芸の宿 花の木」離れが客室になっていて、数は少ないが部屋は広く、静かな宿だった。佐渡の野菜と魚をふんだんに使った美味しいごはん、ふかふかのお布団で、心も体もぽっかぽかである。朝は天気が良かったので朝食前に散歩をした。周りは田園が広がり、裏にある森の中にはこじんまりした畑がある。

黄金の稲穂が美しすぎる。丁度稲刈り直前の、ぶりぶりの稲穂――――――。

田舎が好きだ――――。

東京で齷齪働く我々の心に、佐渡の光が差し込んだ気がした。

 

しかし次の瞬間、

前からキチガイコスプレランナーが現れたのだ。

 

―――――――――――-!?

徹夜行脚・・・!?!?

 

そして後ろから来た車には、例のインド人大家族の母が乗っていた。

 

7時頃の出来事である。やっぱり佐渡島、怖すぎる。 

もう旅先で朝の散歩なんか絶対にするもんか。

 

 

 

佐渡島:まんきん少年

アジトランス状態の私達は寿司屋を後にし、 頑張れば一日で島一周できるとのことで、頑張ってみることにした。 島のてっぺん(北部)まで行き、宿がある宿根木(南部)を目指すというルート。 私たちはBOOK OFFで集めたアツいミュージックを聴きながら何もない海沿いの道をドライブした。 そんな中でも一番ムネがアツくなったミュージックはスキマスイッチの「全力少年」だ。

 

相方はたまに、言葉づかいが結構きもくなるのだが、当時は「まんきん」という言葉がブームだった。 一部のクセの強い関西人が使う方言らしく、「本気で」「全力で」に値する。

例)まんきんでナンパする

言葉のインパクトがものすごいので、この言葉を知らない人の前で発すると必ず不穏な顔をされる。 佐渡島旅行の後は暫く「まんきん病」(すぐまんきんって言っちゃう)にかかっていたので、とても困った。会社でも上司に対して「まんきんで頑張ります!」とか言いそうになる。 スキマスイッチのあの名曲も、まんきん病のせいで台無しだ。一気に下品な感じになる。

 

千切れそうなテンションでまんきん少年を歌う私達とは裏腹に、天気は不穏になってきた頃。 「山居の池」にたどり着いた。

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死ぬかと思った。いや既に死んでいるのか?と思うくらい、 そのくらい穏やかな池。動かない池。動いているようで実は動いていないかもしれない水面を見つめていると狂いそうになる。木が生い茂りすぎだし、葉は緑すぎる、水は透き通りすぎだし、なぜか小声になるし。 東京で「音が消える」瞬間なんてあるわけなくて、心のどこかではそれを求めて田舎に旅をしているはずなのに。これ以上滞在したら本当に死んでしまいそうだったので逃げるようにして車に戻った。

 

なんなんだ、あの幻想のような体験は。

 

穏やかすぎる場所でざわついた心をまんきん少年で落ち着かせ、ドライブを続ける。

佐渡島:100円のアジ

初回の投稿は泥酔の宵に書いたもので、ネタバレをするとブログ開設の発端はキューバ旅行記を書くつもりだった。まずはまだかろうじて記憶があるうちに、国内旅行から始めよう。

 

出会って一か月半程経った頃、佐渡島へ旅行した。夏やし島に行きたいという思いから当初は東京都の島で探していたが、なかなかGOODな経路が見つからず、佐渡島へ。 新潟まで新幹線で2時間、両津港からフェリーで45分。近い。近所やん佐渡島。張り切って朝一の新幹線で行き、新潟にて初のお食事はマクドナルド。 相方は重度のマクドナルド狂いであり、どの地でもまず最初にマクドナルドを探す。「綺麗めのマクド~!」 「マックカフェが併設されているマクドが一番偉い」などと呟きながら新潟の朝マクドをご堪能。海の幸溢れる新潟のマクドである。

 

港までは結構距離があり、キレながら徒歩で向かった。 9月も半ばで多少肌寒いが、ひどく晴天。太陽の周りにぐるっと一周虹がかかっている。 フェリーの名前は覚えてないが結構でかめのフェリーに乗り、やきう中継を見ながらあっという間に佐渡島到着。

 

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まずは予約しておいたレンタカー屋へ。 家族経営っぽい小さなその店の、渋めのおじさん店員に 美味い魚が食べられるお店を聞き、人気の回転ずしが2軒ほどあるという情報をゲット。 回ってしまうんか?大丈夫か?車めちゃめちゃボロいけど大丈夫か?と思いながらも、オススメ2件中の1件へ向かう。 しかしその途中、でかめのBOOK OFFを発見してしまったのだ。 安田美沙子佐渡島へ旅行した時ブックオフで大量にCDを買ってドライブしたというエピソードを丸パクリする為、ブックオフの100円CDのコーナーへ向かった。私達は白熱した。オレンジレンジ、V6、宇多田光、マイアヒーのやつ、ウルフルズスキマスイッチ。。。 もう寿司のことなんか忘れて10枚ほど買いこんだ。

 

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ネタの単価は100円~、どこにでもありそうな普通の回転ずしだ。 魚の旬については常識以下の知識しかない。というか魚の旬って大体冬でしょ?くらいの認識だ。 そんな感じで流れているネタを手当たり次第にとる。 あじ、いわし、さんま、ぶり、たい、あじあじあじ、いわし、あじ、さば、あじあじあじ、、、 アジがとんでもなく美味い。美味すぎて脳みそがとろけるくらい。 今思えば絶対なにか盛られていたんだと思う。 普段、多くの人はアジをなめていると思う。 寿司屋に行って真っ先にアジを頼む人はあまりいないだろう。 それが今ではアジの病である。アジ狂い。 佐渡島の旅 is アジトリップ。

 

旅の幕開けである。

死んだ亀

死んだ亀が道に落ちていた。

でも死体として生きていた。

あたかも何千年もそこにいるかのようだった。

人々に愛される銅像のように。

 

何気ない、ただ刺激的な日々。

 

 

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