キューバ:元巨人オビスポ
マシンガンのようにキューバの衝撃をぶつけられ続け疲弊した我々は、
一旦宿に戻って眠りについた。
キューバの夜を全力で楽しむためだ。
目が覚めた時はすでに日が暮れていた。
スラムも暗いと幻想的な景色に変わるものだと思いながら、
ごみのにおいに鼻をつまみつつ旧市街の中心地へ向かう。
オビスポ通り、そこへ行けば夜が楽しめそうな雰囲気だとガイドブックに記されている。
元巨人のオビスポ投手のことを思い出しながら、そういえばキューバでだれも野球してないななどと訝しがっていると到着した。
オビスポ通りでの我々の最大のミッションは宿を探すことだった。
我々の旅は6泊の予定で、翌日から2泊は第2の都市「サンチャゴ・デ・クーバ」で過ごすこととなっていたので、4~6泊目のハバナでの宿を探したかった。
最初の夜は日本で予約していたのだが、残りは現地で直接交渉しようとしていた。
オビスポ通りには宿がたくさんあったので、よさげなところに入っては空いているか聞いて回った。
とあるキレイ目な建物があり、1階がお土産屋、その奥の階段で上がったところにカーサがあった。早速入って空いているか聞いてみた。
英語が全く通じない… 日本の幼稚園児でも知っていそうな超基本単語でさえ。
絶望がこんにちはしていたが、幼稚園児レベルのスペイン語を振り回し、なんとか交渉が成立した。1泊2500円くらいだった。
ちなみにこの時交渉した若い夫婦かカップルのような男女二人もまた、家主ではないのであった。
その後謎のノリで葉巻を売りつけてきた。透明な袋に雑に入れられた葉巻。
怖くなって全力で断って逃げてきた。
こうして安心を手に入れた我々は、キューバの夜を満喫するため街に繰り出した。
オビスポ通りを歩いていると、次から次へと陽気な音楽が流れてくる。
光に集まる虫のように、相方はほいほい引き寄せられていく。
行く店行く店でモヒートを楽しみ、チップを払い、キューバ人夫婦の熱烈なキッスとダンスを見せつけられたのだった。
3軒ほど回って身も耳も心も満たされたので、宿へ戻った。
そういえば最後におしゃれなアイスクリーム屋さんがあったので、適当に買ったアイスが絶望的な味だった。
世界の子供たちに夢と希望を与えているアイスクリーム。キューバでは違うのかもしれない。
こうしてキューバ1日目を終えた。翌日に期待を膨らませながら。