死んだ亀

デッドタートル

八丈島:ふろ通い初老ジジイ

到着できてしまったので、旅を再開するしかなかった。

とりあえずレンタカー屋に連絡し迎えに来てもらう。

旅先のレンタカー屋にありがちなボロいマイクロバスがすぐにやってきた。

空港のすぐ隣あるそのレンタカー屋は、仮設住宅のような佇まいで不安になるほどだ。

しかも本当に一日3千円だった。予約時は絶対騙されてるよなぁと思ってたので驚きだ。

佐渡のレンタカーよりは幾分かマシな軽自動車。

あの雑な貸し出し方も実に良い。旅ならではだ。

 

10時ごろ、昼ご飯にはまだ早い。

ほぼやることがないであろう八丈島、さてどうしよう。

いつだって無計画★トラベラーズの私達は、いつもレンタカー屋でもらうマップを頼りに旅を始める。

取り急ぎ寿司屋情報を集める。島なので魚が不味いわけがない。

島寿司は八丈島の郷土料理らしい。しまずし?普通のすしと何が違うんだ?

とにかく寿司屋というと島寿司ばかりなので、島寿司を食べに行こう。

片っ端から電話をかけるも、定休日だったり、本日ランチは貸切です、だったり…。

数件しかない寿司屋全滅。これはフライトに引き続き前途多難だ。

 

一旦店選びをやめて、「裏見ヶ滝温泉」へ立ち寄る。

マップ上でも目立つのは温泉だ。八丈島には温泉がたくさんある。

私達は基本的に趣味も好きなものも被らないのだが、唯一共有できる喜びといえばすしとふろと日光(サンシャインの方)だ。

休みの日は大体ふろにはいりにいくか寿司を食べているか日光浴をしている。

つまりすしとふろが豊かな八丈島は本当に最高の島ということである。

そんなことを噛みしめていると、まさかの晴天チャンスが到来した。

日がさしてきたのだ!おお、神よ!やはり私には晴天の神がついている。

「○○温泉」は水着着用で混浴できる露天風呂だ。なんと無料。

ちょっと色っぽいわね・・と胸をドキドキさせながら向かう。

男女一緒の更衣室で水着に着替え、ふろへログイン。

丁度いい温度、晴れてきたので熱いくらいだ。

景色は良好。目の前にはジャングルが広がり、自然の恵みを感じる。

先客が一人いた。初老の男性だ。色気ゼロである。

しかも話しかけてきた。

「そこの岩に足をかけて寝そべるように入るときもちいいですよ」

足が冷えるじゃないの。わてくしは末端が冷え性気味ですのに。と思いつつトライすると、確かに気持ちいい。

これは非常に悔しい話だが、未だに外の風呂に行くとこの入り方をしてしまったりする。

そこから初老男性のマシンガントークが始まる。

どうやら八丈出身で、東京に働きに出たがご両親の介護で戻ってきたらしい。

八丈出身の人はやっぱり八丈がいいな~と島へ戻ってくる人が多いとのこと。

(島に人の気配は全然感じないのだが、本当なのだろうか)

東京では世田谷に住んでおり、若いころはジム通いなんかが好きだった等

ひとしきりしゃべった後なぜか私たちのスマホで私達の記念写真を撮って帰って行った。

ほぼ逆光で表情は見えないが、ひどくしょっぱい顔をしていたに違いない。

早速変な奴に出会ってしまった。しかし、恨みがたき温泉である。

 

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