死んだ亀

デッドタートル

佐渡島:狂いマラソンとインド人大家族

北部へと進むうち、最初は気にしていなかったものが気になり始めた。

 

どうやらマラソンが開催されている。

 

年齢層は高めだった。年長者のレクリエーションだろうか?中にはセーラームーンのコスプレをしながら走るジジイがいたりして、穏やかに狂っていた。なにしろ歩道もない山の一本道をランニングするもんだから危ない。そろそろ先頭だろと思うとまだ現れるし、一本道を行く私達からしたら終わらないものほど怖いものはない。窓の外には聞こえないくらいの声で「全員ぶっころす!!!」等と言いながらドライブは続いた。

 

薄々感じてはいたが、佐渡島、人が少ない。地元の人もあまり見かけないが、観光客もあまり見ない。限界集落」というやつだ。マクドも勿論ない。そんな中で狂ったマラソンランナー達は目立ったし、唯一覚えている観光客は大野亀で見かけたインド人の大家族だった。10人くらいの、サングラスがイカした親父率いるインド人大家族。

 

いい時間になってきたので、帰りは島の東側を通って宿根木へ向かい始めた。泊まる予定の小さな旅館。大きな風呂はないが、宿近くの温泉と提携しており宿泊者は入湯税のみで利用できるというものだった。夕食の前に風呂に入ってしまいたかったので、宿に到着時間を告げ、温泉へ。最遅のチェックイン時間を過ぎそうだったが、親切な宿のおじさんが温泉へ予めタオルを届けてくれるなどしてくれた。「おぎの湯」はいい湯だったのでオススメです。お湯がぬるぬるで、そら肌もぬるぬるになりますわって感じで。

 

宿は「音楽と陶芸の宿 花の木」離れが客室になっていて、数は少ないが部屋は広く、静かな宿だった。佐渡の野菜と魚をふんだんに使った美味しいごはん、ふかふかのお布団で、心も体もぽっかぽかである。朝は天気が良かったので朝食前に散歩をした。周りは田園が広がり、裏にある森の中にはこじんまりした畑がある。

黄金の稲穂が美しすぎる。丁度稲刈り直前の、ぶりぶりの稲穂――――――。

田舎が好きだ――――。

東京で齷齪働く我々の心に、佐渡の光が差し込んだ気がした。

 

しかし次の瞬間、

前からキチガイコスプレランナーが現れたのだ。

 

―――――――――――-!?

徹夜行脚・・・!?!?

 

そして後ろから来た車には、例のインド人大家族の母が乗っていた。

 

7時頃の出来事である。やっぱり佐渡島、怖すぎる。 

もう旅先で朝の散歩なんか絶対にするもんか。